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夏奈「もうバカな次女を演じるのは疲れたよ…。」


1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:38:14.91 ID:j4FJvp/h0


xx/01/xx

千秋「何を言ってるんだ。演じるまでもなく、お前は純粋なバカだよ。」

夏奈「………なぁ、千秋ー?」

千秋「なんだ?」

夏奈「もしも私がテストで100点とってきたら、面白いか?」

千秋「今世紀でもっとも面白いギャグだな、それは。」

夏奈「そうだよな。………面白くないよな。やっぱり。」

千秋「さっきからどうしたんだ、お前?頭、だいじょうぶかー?」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:39:22.69 ID:j4FJvp/h0





xx-1/04/xx

---学校---

教師「つまり二次関数の最大値というのは、グラフを描いてみて求めるわけだ。」

教師「それじゃあちょっと難しいが、この問題を…南!」

夏奈「はいっ!わかりません!」ガタッ!

ケイコ(どうして分からないのに自信満々なんだろう……。)

教師「なんだ、しょうがないな。誰か答えられる者はいるか?」

夏奈「ケイコー。私の代わりに答えを教えてやってくれ。」

ケイコ(どうして分からないのに偉そうなんだろう……。)

ケイコ「はい。12と3/4です……。」

教師「そうだな。それで正解だ。」






6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:41:32.38 ID:j4FJvp/h0


---休み時間---

ケイコ「ねぇ、夏奈。」

夏奈「んー?」

ケイコ「ちゃんと勉強しないと、もうすぐ試験始まるよ…?」

夏奈「なぁにをー!母親みたいなことを言うんだな、ケイコは。]

夏奈「もう学生やめて家庭に入ればいいよー。」

ケイコ「またそんなことばっかり言って…。ちゃんとノートはとってるの?」ペラッ

夏奈「あっ、こら!私のノートだぞ!勝手に見るなぁーっ!!」ガタッ

ケイコ「………っ!?」




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:43:12.32 ID:2Lb24bmY0


夏奈ちゃんちゅっちゅ



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:43:44.77 ID:ndbchypZ0


電卓にでもなればいいよ



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:45:58.88 ID:j4FJvp/h0


ケイコ(何これ…。見たことない記号や数式ばっかり…。)

ケイコ(あれ……?さっきの二次関数の問題…。夏奈解けてる…?)

ケイコ(しかもあんな難しい問題を、たった一行で……。∂…λ…?何この記号…?)

夏奈「こらっ!かえせーっ!」

ケイコ「あ、ごめんね…。」

夏奈「まったく…!ケイコのくせに油断も隙もないなっ!」

ケイコ(夏奈。どういうこと……?)




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:46:34.58 ID:j4FJvp/h0





xx-1/05/xx

---夕食---

春香「ほら千秋。ニンジン残してるわよ。」

千秋「う…。ハルカ姉さま…。これは、その…」

夏奈「なんだぁ、千秋はあいっかわらずお子様だなっ?」

千秋「お前ほどじゃないよ、バカ野郎。」

夏奈「なんだとーぉっ?私はニンジン食べられるんだぞっ!?」ガタッ!

千秋「お前に食べられるニンジンも可哀相だな。もっと有意義な最期を迎えたかったろうに。」

夏奈「そんなことないだろ、なぁ?ニンジンよ?ニンジンさんよ?」ナデナデ

春香「ほらほら、バカなこと言ってないで。好き嫌いせずに食べよ?千秋?」

千秋「そうですね、ハルカ姉さま。バカの相手は疲れました。」

夏奈「幸せな一生だったよな、そうだろ、ニンジンさん?」ナデナデ

千秋「一生やってろ、バカ野郎。」




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:51:30.17 ID:j4FJvp/h0


春香「千秋。まだニンジン残ってるわよ?」

夏奈「…」

千秋「そ、そうですね…。あ、なんかおなかいっぱいになってきました…。」

春香「だーめ。それだけは食べてしまいなさい。」

千秋「食べないとだめですか…?」

春香「ダメ。好き嫌いしてちゃ、おっきくなれないわよ?」

夏奈「……」




16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:52:12.51 ID:j4FJvp/h0



千秋「……おっきくならなくても良いです。」

春香「嫌いなのは分かるけど、そういうこと言うのはもっとダメよ。」

夏奈「………」

千秋「……どうして好き嫌いしちゃいけない「春香っ!おかわりだっ!!!」

春香「あ、はいはい。ご飯ね?」

夏奈「大盛り、いや昔ばなし盛りでたのもうっ!!」

春香「えと、むかしばなしもり……?」

夏奈「あぁそうだ。日本昔ばなしの挿絵くらい豪快に、そしてスマートについでくれ!」

千秋「変なことを言ってハルカ姉さまを困らせるな、バカ野郎。」

春香「ふふっ、はいはい。わかりました。」スタスタ





19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:54:20.28 ID:j4FJvp/h0


夏奈「そして千秋のニンジンは私のオカズになれる権利を得た!よこせーっ!」

千秋「ニンジンさんは、お前に食べられるくらいなら、私に食べられたいそうだ。」パクッ

夏奈「そんなに私はニンジンに嫌われてるのか?そうなのか?」ウルウル

春香「はい、夏奈。ご飯これくらいでいい?」ホッカホカ

ご飯「デーン!!」

千秋(これは多いのではないだろうか、春香姉さま……)

夏奈「…おぉっ!理想的な昔話盛りだ!春香は才能があるぞ!」

千秋「何の才能だ。」

春香「ありがと…?ふふっ」




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 21:56:26.41 ID:j4FJvp/h0


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夏奈(こうなってしまったのはいつからだろう。)

夏奈(しっかりものの長女と三女。春と秋の間ににはさまれて。)

夏奈(周りがしっかりとしている分だけ、私はバカを演じるようになった。)

夏奈(…真面目なだけでは上手くいかないことがあるから。)

夏奈(真面目な二人だけでは、上手くいかないこともあるから……。)

夏奈(でももう、バカを演じるのも、疲れた…。)
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22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:00:23.00 ID:j4FJvp/h0


xx-1/08/xx

---居間---

春香「うーん、どうしよっかな。これ…。」

千秋「どうしました、春香姉さま?」

春香「新しくきた先生が、ちょっと厳しくてね。宿題、一緒に考えてくれる?」

千秋「も、もちろんです!春香姉さま!」

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夏奈(春香は時々こうして千秋に宿題を手伝ってもらう。)

夏奈(でもそれは、本当に宿題を手伝ってほしいわけじゃない。千秋を喜ばせる機会を作ろうとする、春香の配慮だ。)

夏奈(千秋は春香の役に立ててうれしい。春香は千秋への教育も兼ねることができる。互いに利する関係だ。)

夏奈(だけど、この関係にはひとつの前提がある。それはすなわち―――)
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23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:01:52.32 ID:j4FJvp/h0



春香「えぇーっと、なになに…?『19世紀後半から20世紀初頭に起きた科学の危機について、それが近代思想に与えた影響を述べよ』……?」

千秋「??どういうことですか、春香姉さま??」

春香「か、科学がねー、あ、危ないことになったのよ。ほら、20世紀だから、えぇっと、1999年までの間にね。」

春香(ど、どうしよう。何これ…。どうして現代社会なんて適当な科目で、こんな難しいこと聞かれるのよー!?)

千秋「春香姉さま。科学がどう危なかったのですか?」

春香「そ、それはねー、あは、あははっ…(どうしよう…?)」

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夏奈(その前提とは、すなわち―――春香がすべての答えを知っている『先生』でなくてはならない、ということだ。)
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24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:02:25.60 ID:j4FJvp/h0



夏奈「春香-。アインシュタインって何がスゴイんだろうなー?」

春香「え、え…?アインシュタイン…?」

千秋「春香姉さまは真面目に考えてるんだ。邪魔をするな、バカ野郎。」

夏奈「たとえばニュートンと比べてどうスゴイんだろうな?私はニュートンのほうが『理性的』で好きだよー。」

春香「それは多分……」

夏奈「あんな変な顔で写真に残ったのがスゴイのかねー?それまでの『素朴』なオジサマ達より面白かったんだろうか?」

千秋「おい、夏奈。いい加減にしろ。」

夏奈「千秋も考えてみろ。それまでの『神様』信じてた時代って素晴らしいんだぞ?」

春香(理性的…素朴…神様…そっか…理性主義からの転回ってことかも…!)




25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:02:59.20 ID:j4FJvp/h0



春香「ふふっ。」

千秋「は、春香姉さま…?どうしたんですか…?」

春香「千秋、一緒に私の部屋で調べ物しよっか?」

千秋「は、はい……。春香姉さまと一緒なら…。」

春香「それから夏奈-?」

夏奈「なんだ?」

春香「あなたもちゃんと宿題しなさい。きっと勉強したら頭良いんだから、ね?」

夏奈「………」





26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:03:06.58 ID:/pLyTCt7O


夏奈の人格がガチで変わる話あったな
今年のヤンマガで。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:03:45.74 ID:j4FJvp/h0


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私は何をやっているのだろう。

春香や千秋を、私は好きだ。それは間違いない。

だけど私が好きなのは、「バカな夏奈」を囲んでくれている春香と千秋なのだ。

私が「バカな夏奈」を演じるのをやめたとき。

それでも春香や千秋が、私の好きなままの春香と千秋でいてくれるのか―――。

それが分からないから、私は今日も「バカな夏奈」でいる。

でもそれも、もうなんだか、無意味なのだ。
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28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:04:40.27 ID:j4FJvp/h0


xx-1/12/xx

---教室---

教師「では、先日のテストを返却する!」

藤岡「よぉし!このテストでも夏奈に勝って良いところを見せるぞっ!」

ケイコ「前回は、負けた方が言うことを聞くんだったかしら?」

藤岡「うん!」

夏奈「………」





29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:05:11.41 ID:j4FJvp/h0


-----------------------------
夏奈(藤岡、という面白いやつがいる。)

夏奈(私に好意を抱いてくれている友人。)

夏奈(友人。そう、「夏奈」にとっては友人だ。)

夏奈(藤岡が友人という関係を望んでいないとしても、だ。)

夏奈(それでも、「夏奈」にとっては友人でしかない―――。)

夏奈(ひどく、バカにした行為だと思う。われながら。)
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31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:05:51.91 ID:j4FJvp/h0


藤岡「どうしたんだ、南?元気ないぞ!?」

藤岡(ハッ!これはもしかしたら、励ましてやるべきところなのか!?)

藤岡(こないだのテストでは、俺が全教科勝ってしまった…。それを気にしているのか!?)

藤岡「南。」

藤岡「俺はたとえバカでも、、、」

藤岡「そんなバカなお前のこと、好きだからっ!!」

ケイコ(それ、励ましっていえるの…?)

教師「南ー!みなみー!テストを取りにこーい!」

夏奈「……なぁ、藤岡。」




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:07:35.84 ID:j4FJvp/h0


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言ってみたい言葉がある。

気づいていない振りをしてきた私がこういったら、面白いだろうか。
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藤岡「なんだ、南!?」

夏奈「……」

-----------------------------
「…バカじゃない私でも、好きでいてくれるか?」
-----------------------------

夏奈「……」

夏奈「やっぱり、…なんでもない。」スタスタ

藤岡「…?」

ケイコ(あぁ、夏奈ったら、また今回も40点なんて取って…。いつも勉強しなさいって言ってるのに…。)

藤岡「南!今回も俺の勝ちだけど……言うこと聞かせようなんて思ってないから…っ!」

                 「………グスッ」




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:09:26.27 ID:nKdahhWs0


新しい視点ですね



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:10:37.59 ID:/rc1oCOn0


フジカナこそ至高




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:12:45.26 ID:j4FJvp/h0


xx/01/xx

---居間---

夏奈「なぁ、千秋よー?」

夏奈「夏奈お姉さまからの真面目な相談なんだけど。」

千秋「うん、なんだー?バカ野郎。」

夏奈「もうバカな次女を演じるのは疲れたよ…。」

千秋「何を言ってるんだ。演じるまでもなく、お前は純粋なバカだよ。」

夏奈「………なぁ、千秋ー?」

千秋「なんだ?」

夏奈「もしも私がテストで100点とってきたら、面白いか?」






40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:17:46.50 ID:j4FJvp/h0


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あのとき千秋がどう答えたのか。

私はもう覚えていない。

私がこの世界を去るのに、1月を選んだのには理由がある。

それは私たち三人の間で、誰の名にも冠されない季節。

春というには早く、秋というには遅い。

そのどちらも悲しませたくないという、私なりの配慮。


でもたしかに、あの二人に囲まれて、私は生きてきたのだ。

春と秋の間。

そう、とても心地よい季節の間で。

もう二度と会えない、居心地の良い二人の間で。
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41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:18:17.57 ID:j4FJvp/h0




夏奈「という遺書を書いてみたんだ!!どうだ!?春香!?千秋!?」

千秋「バカ野郎。お前は正真正銘のバカだ。安心しろ。」

春香「あはは、これはちょっと夏奈らしくないわよー?」

夏奈「なんだとーぉ!?どこが私らしくないんだ!?」

千秋「お前はそんなに頭が良くない。」

春香「ほ、ほら!夏奈ならこんなに思いつめないかなー、って!」

夏奈「なんだとーぉ!?二人とも、そこになおれー!!」




43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:19:26.08 ID:j4FJvp/h0


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そう、穏やかに季節は巡っていく。

誰にも寒さを見せず、夏は過ぎてゆく。

消えてしまうのだ。春から秋へと。

だから、もうバカな次女を演じるのは―――。
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(了)




44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/19(水) 22:23:27.02 ID:j4FJvp/h0


あ、いまさらですが、

みなみけ 
原作:桜場コハル 先生

です。
初めてのSS投稿でお目汚し失礼しました。
読んで頂けた方、ありがとうございました。本当に。


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